お知らせ
【コラム】法律お役立ちコラム《交通事故_vol8》
後遺障害~醜状障害について
1 醜状障害とは
交通事故による傷害によって、顔や身体に傷跡が残ってしまった場合、「醜状障害」として後遺障害の認定を受ける場合があります。
醜状は、事故から直接生じたものはもちろんのこと、手術や処置のために生じた醜状についても認定の対象になります。
2 醜状障害の等級認定
醜状障害は、以下の4つに分類されたうえで等級評価されます。
① 外貌の醜状
「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部のように、上肢および下肢以外の日常露出する部分を言います。
② 上肢の露出面の醜状
「上肢の露出面」の意味について、自賠責障害認定実務の扱いでは、上腕(肩関節以下)から指先までとされ、労災基準では、肘関節以下(手部を含む)とされています。
③ 下肢の露出面の醜状
「下肢の露出面」の意味について、自賠責障害認定実務の扱いでは、太腿(股関節以下)から足の背まで、労災基準では膝関節以下(足背部を含む)とされています。
④ その他の部位の醜状
3 醜状障害の立証資料
醜状障害の立証資料としては、医師の診断書や、醜状痕を撮影した写真などがあります。
【コラム】法律お役立ちコラム《交通事故_vol7》
自賠責保険の請求方法
1 加害者請求
自賠責保険は、責任保険であり、被害者保護を目的とした加害者のための保険です。
したがって、加害者は当然に自賠責保険に保険金を請求することができます。
2 被害者請求
自賠法は被害者保護のための特別の法律であり、自賠責保険については被害者が直接請求することができるという被害者請求権を規定しています。
なお、被害者が請求するのは保険金ではなく、損害賠償額となります。
3 仮渡金請求
自賠責保険には、加害者請求、被害者請求以外に、仮渡金請求というものもあります。
本来、被害者は最終的に損害が確定した際に被害者請求をするのですが、当面のお金もないような場合には、最終的な損害額が確定していなくても、仮渡金の請求ができるのです。
4 政府保障事業
自賠責保険の保険制度とは別のものですが、自賠責保険のなかには政府保障事業というものがあります。
例えば、ひき逃げ事故で加害者がわからないため自賠責保険に請求できない場合や、加害者が被保険者でない場合、無保険車や盗難車による事故のような場合には、自賠責保険に対する請求ができません。
このような場合の被害者救済策として、被害者が政府保障事業に請求することができる制度が設けられているのです。
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【コラム】法律お役立ちコラム《交通事故_vol6》
車両が全損した場合に請求できる損害について
1 時価の請求が可能
物損事故によって車両が全損した場合、その車両の時価を損害として加害者に請求することができます。
では、時価とは具体的には何を指すのでしょうか。
これについて、最高裁は、「同一の車種、年代、型、同程度の使用状態、走行距離等の自動車を中古車市場において取得するに要する価額によって定める」としています。
すなわち、時価とは、市場での取引価格、販売価格ということになります。
2 自動車の時価の証明方法
次に、自動車の時価をいくらとして評価するのかという問題になります。
実務上、一般的には、「オートガイド自動車価格月報」(レッドブック)掲載の価格を基準とすることが多いです。
場合によっては、中古車の専門雑誌等を参考にしたり、インターネット等の情報を参考にすることもあります。
中古車市場価格が判明しないときには、減価償却法によって算定することが一般的です。
3 買替諸費用の請求も可能
全損の場合、買い替えのために必要な諸費用も、加害者に請求することができます。
具体的には、以下のものが請求可能です。
・登録費用
・車庫証明手数料
・納車費用
・廃車費用の内法定手数料
・相当額のディーラー報酬
・同程度の中古車取得に要する自動車取得税
・被害車の未経過分の重量税
【コラム】法律お役立ちコラム《交通事故_vol5》
交通事故による後遺障害と等級認定
1 等級認定がされる時期~症状固定とは
交通事故によって負傷した場合、医療機関で治療を受けることになりますが、医師により「症状固定」と診断され、後遺障害が残ってしまう場合があります。
「症状固定」とは、「傷害に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果を期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したときをいう」とされており、簡単にいってしまうと、治療をしてもこれ以上もよくならない状態ということです。
症状固定の判断がなされると、後遺障害について等級認定がされることになります。
2 等級認定を行う機関
後遺障害の等級認定は、損害保険料率算定機構という機関が行います。
ただ、JA(農協共済)の場合は、JA共済連が判断をします。
後遺障害の等級は、症状の程度に応じて、第1級から第14級、あるいは無等級として認定されます。
3 等級認定に納得できない場合
等級認定に不服がある場合、いわゆるADRとして、自賠責保険・共済紛争処理機構という組織に申請して判断をしてもらう方法があります。
それでも解決しない場合には、最終的には訴訟を提起することになります。
不服申立てにあたっては、前回の認定理由書の内容を精査し、どこに問題があるのか、前回の申請において医療情報として何が不足していたのか、不足していた情報をどのように追加するか(どのような医師に、どのように書類を依頼すべきか)などを検討し、必要な資料を追加提出したうえで、問題点について具体的に主張する必要があります。