お知らせ
【コラム】法律お役立ちコラム《離婚_vol3》
別居中の生活費の負担~婚姻費用分担請求
1 婚姻費用とは
婚姻費用とは、夫婦と子どもによって構成される婚姻家族が、その資産・収入、社会的地位に応じた通常の社会生活を維持するのに必要な費用であり、夫婦が互いに分担するものとされています(民法760条)。
ここに含まれる費用としては、衣食住の費用のほか、子の教育に関わる費用、医療費、一定の娯楽費、交際費等です。
2 別居中の婚姻費用の負担は?
では、夫婦が離婚の前段階として別居に至った場合、別居中の婚姻費用の負担はどうなるのでしょうか。
この場合も、原則として夫婦が分担することとされます。
裁判例(大阪高決昭和33.6.19)においても、「夫婦の共同生活が破綻を来たし、別居生活に入ったとしても、離婚しないかぎり、婚姻は継続しているのであるから、離婚するか、または共同生活が回復するにいたるまで、夫婦各自の生活は、いわばそれまでの共同生活の2つの破片として、上記相当程度の各自の生活費や子の養育費は、やはり婚姻費用とみるべきである。」とされています。
3 婚姻費用の相場は?
婚姻費用の金額については、夫婦の収入や生活状況を考慮して決められます。
調停や裁判の実務では、平成15年に公表された「婚姻費用算定表」という表をもとに算定されることが一般的です。
婚姻費用算定表は、裁判所のホームページでも閲覧することが出来ますので参考にしてください。
⇒リンク:裁判所ホームページ_婚姻費用算定表
4 婚姻費用の取り決め、請求方法
婚姻費用の金額や支払い方法については、まずは夫婦の間の話合いで決められます。
話合いがまとまらない場合は、調停、審判などの法的手続きを通じて婚姻費用が決定されることになります。
5 婚姻費用Q&A
以下は、婚姻費用の分担額を決めるにあたって問題となることが多い点について、説明します。
※なお、夫婦の間で収入が多く婚姻費用を支払う側を「義務者」、請求する側を「権利者」と言います。
Q1 | 義務者が無職の場合、収入はゼロとして算定するのですか? | ||
A | 原則として収入はゼロとして算定することになりますが、定職に就いた経験があり、それが可能な場合は平均賃金を得ていると仮定して算定します。 | ||
Q2 | 権利者が無職の場合、収入はゼロとして算定するのですか? | ||
A | 原則として収入はゼロとして算定することになりますが、働こうとすれば働ける場合は、収入を推定して算定します。 | ||
Q3 | こども手当は収入に加算するのですか? | ||
A | 収入には加算しません。 | ||
Q4 | 離婚原因が権利者にある場合でも、婚姻費用は分担しなければならないのですか? | ||
A | 原則として、離婚原因と婚姻費用の分担については切り離して考えることになりますので、婚姻費用の分担が必要です。離婚原因については、離婚に伴う慰謝料や財産分与で考慮することになります。 |
その他、個々のケースで算定表とは異なる金額が導かれることもあります。詳しくは弁護士にご相談ください。
【お知らせ】調布・狛江 市民法務無料相談会(3・4月開催)に参加します
調布行政書士市民法務会主催の「調布・狛江 市民法務無料相談会」に相談員として参加します。
◆日程・場所◆
3月17日(金)13:00~16:00 市民プラザあくろす 2階 会議室1(京王線国領駅北口 コクティー)
3月22日(水) 9:00~12:00 調布市文化会館たづくり 8階 801会議室
3月31日(金)13:00~16:00 狛江市商工会館 2階会議室(狛江駅 徒歩3分)
4月 6日(木)13:00~16:00 市民プラザあくろす 2階 会議室1(京王線国領駅北口 コクティー)
4月15日(土)13:00~16:00 調布市文化会館たづくり 8階 801会議室
4月20日(木) 9:00~12:00 調布市文化会館たづくり 8階 801会議室
※ 予約不要・相談無料です。
※ 相続、遺言、離婚 など、身近な問題についてご相談を承ります。
詳細はコチラ【調布 市民法務会】でご確認下さい。
【コラム】法律お役立ちコラム《離婚_vol2》
養育費について
1 養育費とは
養育費とは、子どもが独立の社会人として成長自立するまでに要する全ての費用、つまり衣食住の費用、教育費、医療費、適度の娯楽費などを言います。
ここに言う「子ども」とは、必ずしも「未成年者」と同じではありません。一般的には20歳までとして取り決められることが多いですが、親の資力や学歴、その他家庭環境等を考慮して、高校卒業までとされたり、大学卒業までとされたりすることもあります。
また、養育費の支払義務は、あくまで親としての子に対する義務であり、親権者でなくても親である以上、支払義務を負います。
2 養育費の相場
養育費の金額については、夫婦の収入や生活状況を考慮して決められます。調停や裁判の実務では、平成15年に公表された「養育費算定表」という表をもとに算定されることが一般的です。養育費算定表は、裁判所のホームページでも閲覧することが出来ますので参考にしてください。
⇒リンク:裁判所ホームページ_養育費算定表
3 養育費の取り決め、請求方法
養育費の金額や支払い方法については、まずは夫婦の間の話合いで決められます。話合いがまとまらない場合は、調停、審判、訴訟などの法的手続きを通じて養育費が決定されることになります。
4 養育費の支払いが滞ってしまった場合
養育費は、通常、一括払いではなく、1か月ごとに支払われる取り決めとされることが多いです。そのため、長期間に亘る支払いとなり、その間の支払いを確保することが非常に重要です。
単なる口約束や誓約書のようなものを作っただけだと、その約束通りに支払いがなされなかった場合に強制力がありません。
これに対し、支払約束について公正証書を作成している場合や、調停や審判、裁判などの法的手続きを経ている場合には、強制執行を申し立て、相手方の給与や資産を差し押さえて養育費を取り立てることが出来ます。
5 養育費の増額・減額請求
当事者いずれかにおいて、養育費取り決め時の事情が変化した場合には、養育費の増減額請求が出来ます。
養育費の増減額請求で考慮される事情としては、主に以下のものがあります。
① 父または母の再婚、それによる新たな子の出生
② 父母双方の職業の変更と収入の変化
③ 病気
④ 子の成長、就職
⑤ その他、当事者を取り巻く社会的状況、経済情勢の変動など諸般の事情の変化が生じた場合
ただ、一度取り決めた養育費の増減は、当事者の新たな生活設計がこの取り決めに基づいてなされることから、一定の期間の経過と相当程度の事情の変化が必要とされます。
6 おわりに
養育費については、離婚にあたって、相手方と話合いをしたくない、とにかく早く縁を切りたいなどの理由で取り決めをしないまま、親権者が一人苦労をして子どもを育てているケースが多くあります。
しかし、養育費は、子ども自身のためのものです。子どもの健全な成長のためにも、きちんと取り決めをすべきでしょう。
話合いが困難な場合には、弁護士が交渉窓口となることが可能です。どうぞご相談ください。
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