お知らせ
【コラム】法律お役立ちコラム《債務整理_vol12》
個人事業主の破産について
1 管財事件となるのが原則
個人事業主として事業を営んでいる方であっても、破産の申立ては可能です。
ただ、事業を営んでいる場合、事業の営むにあたって資産や負債が形成されるのが通常であるため、破産管財人による資産調査などを経る必要性が高いとの理由から、管財事件とされることが原則です。
既に事業を廃業している方であっても、資産等の状況や、清算手続きが適切になされているかどうかの調査も必要とされるため、やはり管財事件となるのが原則です。
管財事件となる場合には、申立費用とは別に、最低20万円が破産手続きにおいて必要となります。
2 管財事件とならない場合
事業を営んでいる方であっても、実態として雇用に近い形で報酬を得ている場合で、事業用資産がなく、負債の内容も事業そのものとは関係のない、個人の生活費の不足を補うためのものであり、かつ、負債の額も多額ではないような場合には、例外的に管財事件とはされず、同時廃止とされることもあります。
また、既に事業を廃業している方の場合、原則として管財事件となることは上記のとおりですが、営んでいた事業の規模や内容、清算状況などから、管財事件とされない場合もあります。
主な判断要素は以下のようなものがあります。
・負債額:負債額が多額にのぼる場合には管財事件とされる可能性が高いです。
・負債内容:事業に関連する負債か、個人的な負債か。
・廃業時期:廃業してから既に長期間が経過している場合には管財事件とならない可能性があります。
・清算状況:事業が適切に清算されているかどうか。
以上の点を中心に総合判断のうえ、管財事件とするか同時廃止とするかを裁判所が決めることになります。
弁護士にご相談いただければ、管財事件となるかどうか一定の見通しをお伝えすることが可能ですので、まずは弁護士へのご相談をお勧めします。
【コラム】法律お役立ちコラム《債務整理_vol11》
破産手続きにおいて換価しない財産
破産手続きにおいては、破産者が破産手続開始のときに有する差押可能な一切の財産が「破産財団」という扱いになり、破産者が法人ではなく個人の場合、自由財産(破産者が破産手続開始後に新たに取得した財産や差押禁止財産等)以外の財産については、原則として、全て換価の対象になります。
ただし、東京地方裁判所を管轄とする破産事件については、以下については換価をしないものとされていますので、そのまま保有することが可能です。
① 99万円に満つるまでの現金
② 残高が20万円以下の預貯金
③ 見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金
④ 処分見込価額が20万円以下の自動車
⑤ 居住用家屋の敷金債権
⑥ 電話加入権
⑦ 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下である退職金債権
⑧ 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7
⑨ 家財道具
⑩ 差押えを禁止されている動産または債券
上記①から⑩以外の財産を持っている場合は、当該財産は換価をすることになります。
ただし、財産の内容や金額、破産者の状況等によっては、上記①から⑩以外の財産であっても、換価をしないことが認められる場合もあります。
この許可を出すのは裁判所ですが、事前に弁護士にご相談いただければ、一定の見通しをお伝えすることができます。
破産をするにあたって、ご自身の財産などがどうなるかご不安がある場合は、まずは弁護士へのご相談をお勧めします。
【お知らせ】遺言・相続 無料相談会(2019年9月・10月開催)が開催されます
調布行政書士市民法務会主催の「遺言・相続 無料相談会」に相談員として参加します。
※ 伊藤弁護士が参加できない日程もございますので、詳しくは事務所(仙川総合法律事務所)にお問い合わせください。
◆日程・場所◆ ※最終受付は終了時間1時間前です
9月 9日(月)13:00~16:00 調布市文化会館たづくり 8階 801会議室(調布市役所隣り)
10月 3日(木)13:00~16:00 調布市文化会館たづくり 8階 801会議室(調布市役所隣り)
※ 予約不要・相談無料です。
※ 相続、遺言、離婚 など、身近な問題についてご相談を承ります。
詳細はコチラ【調布 市民法務会】でご確認下さい。
【コラム】法律お役立ちコラム《債務整理_vol10》
借金の時効について
1 借金の消滅時効とその期間
法律上、債権者が一定の期間、権利を行使しないと、その権利を行使することができなくなることを、消滅時効と言います。
消費者金融やカード会社からお金を借りた場合にも、この消滅時効の適用があります。
具体的には、最終取引の日から5年間が経過すると、消滅時効にかかり、借金を返さなくてもよいことになります。
なお、消滅時効の期間として、個人間の一般的な取引の場合は10年間ですが、消費者金融などの会社からの借入の場合には、5年間となります。
2 時効の援用
借金も消滅時効にかかりますが、注意しなければならないのは、時効期間の経過により、自動的に借金が消滅するわけではないということです。
債務を確定的に消滅させるためには、消滅時効の効力を主張する意思表示を行わなければなりません。
これを、時効の援用(えんよう)と言います。
この時効の援用をするにあたって、法律上、方式の決まりはありませんが、後々に時効の援用の事実の有無について争いが生じることのないよう、内容証明郵便によって行うべきです。
3 時効の中断
金融機関からの借金の消滅時効は、上記の通り5年間ですが、この5年の間に一定の事実があると、その時点で時効の進行が「中断」します。
時効の中断があると、その時点で、それまで進行した時効期間はリセットされ、そこから改めて5年間が経過しないと消滅時効の効果は発生しません。
借金の場合に「中断」事由となる主な事項としては、債権者から裁判を起こされたり、支払督促の申出があった場合などがあります。
4 時効にかかっているかを確認する方法
最終取引時がご自身の記憶ではっきりしない場合、基本的には債権者に問合せをして取引を確認することになります。
弁護士に依頼をした場合は、債権者から弁護士に取引履歴を開示させ、時効が成立しているかどうかを弁護士にて判断し、時効にかかっている場合には速やかに時効の援用を行います。
5 時効と信用情報(ブラックリスト)の関係について
時効を援用した場合、債務を完済したのと同じ状態になりますが、その後の扱いについては、信用情報機関によって異なるようです。
すぐに信用情報が抹消される場合もあれば、貸倒れとして一定期間情報が残る場合もあります。
ただ、一定期間経過後は抹消されますので、時効の援用をせずにそのままずっと信用情報が残ってしまうよりも、時効を援用したほうが将来的にまた融資を受けやすくなりますので良いと言えます。

