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【コラム】法律お役立ちコラム《離婚_vol12》
養育費や婚姻費用の履行を確保する手段~履行勧告、強制執行
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養育費や婚姻費用について、調停や審判でせっかく取り決めをしても、その後実際の支払いがストップしてしまうことがあります。
そのような場合に、履行を確保するための手段としては、家庭裁判所から履行勧告をしてもらう方法と、強制執行をする方法があります。
2 履行勧告について
① 履行勧告とは
履行勧告とは、審判や調停によって定められた義務の履行を怠っている義務者に対し、家庭裁判所が権利者の申出により、義務の履行状況を調査したうえで、その履行を勧告する制度です。
② 履行勧告の効力
履行勧告は、あくまで裁判所からの勧告であり、支払いを強制する効力はありません。
ただ、裁判所から直接義務者に連絡が入り、履行するよう勧告されることで、単に義務者から請求を受けるよりも心理的なプレッシャーは大きいと言えるでしょう。
実際、履行勧告があったことでその後支払いがなされるようになったケースは少なくありません。
3 強制執行について
① 強制執行とは
裁判所を通じて、強制的に取り立てる手段です。
債務者が債務の支払いを任意にしない場合に、民事執行法に基づいて裁判所に申立てをすることによって手続きが行われます。
② 強制執行ができる財産
強制執行が出来るのは、債務者名義の財産です。
給与や預貯金、不動産、自動車など幅広い財産が対象となります。
給与の差押えについては、通常の債権の場合には、給与の4分の1までしか差押えが出来ませんが、養育費や婚姻費用の場合には特別に2分の1まで差し押さえることが認められています。
③ 強制執行をするために必要な書類
強制執行をするためには、「債務名義」と呼ばれる特別な書面(強制執行の根拠となる書面)が必要です。
調停調書や、強制執行認諾文言付きの公正証書などがこれにあたります。
単なる口約束や、当事者間で誓約書を作成していただけでは、強制執行の手続きを取ることは出来ません。
そのため、養育費や婚姻費用について取り決めをする際には、支払いが滞った場合の強制執行まで視野に入れて書面を作成しておくことが重要です。