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【コラム】法律お役立ちコラム《離婚_vol5》
離婚と住宅ローン
1 結婚してから購入したマイホーム(不動産)を、離婚の際にどのように処理するのか?
特に住宅ローンがまだ残っている場合には、重要な問題となります。
不動産を売却するのか、どちらかが住み続けるのか、住み続ける場合は残った住宅ローンを誰が払っていくのか、保証人の問題はどうするかなど、相手方との話合いはもちろん、場合によっては金融機関とも話し合っていかなければなりません。
2 まずは不動産について調査をしましょう。
離婚にあたって不動産をどのように処理するかを考えるにあたっては、まずはその不動産がどのような状態にあるかを確認する必要があります。
①不動産の名義・価額
法務局で不動産の登記簿謄本を取得し、不動産の所有者が誰になっているのかを調べましょう。
不動産に担保権(例えば抵当権)が付いているかどうかも、この謄本を見ることで分かります。
また、不動産の現在の価値を知るために、不動産業者に査定を依頼しましょう。
②住宅ローンの名義・残高
住宅ローンの名義が誰になっているのかは、借入をした際の契約書を確認することで分かります。
主債務者が誰か、連帯債務になっているか、保証人が付いているかなどを確認しましょう。
住宅ローンの残高については、返済計画が記載された償還予定表、返済予定表などの書面で確認できます。
それらの表が手元に残っていない場合は、金融機関に依頼をして残高証明書を発行してもらうことも可能です。
これらの調査をすることで、不動産がオーバーローンの状態か、アンダーローンの状態かが分かります。
そのうえで、不動産を売却するのか、どちらかが住み続けるかを検討することになります。
3 不動産を売却する場合
アンダーローンの場合、売却したお金で住宅ローン残高を返済したうえで、余剰金は財産分与の対象となります。
オーバーローンの場合は、売却後も住宅ローンの返済が継続することになりますので、その負担をどうするかを決めなければなりません。
4 どちらかが住み続ける場合
①夫(住宅ローンの債務者)が住み続ける場合
夫が不動産に住み続けて住宅ローンの返済も行っていく場合、注意しなければならないのは妻が連帯債務者や連帯保証人になっている場合です。
妻が負担を免れるためには、金融機関の承諾を得る必要がありますが、その際には、別の保証人などを付けるよう要求されるケースが多いです。
②妻(住宅ローンの債務者でない方)が住み続ける場合
この場合、住宅ローンの債務者を妻に変更するのが条件となることが多いですが、そのためには金融機関と合意をしなければなりません。
債務者の変更については、妻が安定的な職業に就いており、それなりの経済力がなければ難しいのが実情です。
金融機関の合意を得ることが難しい場合には、債務者を夫にしたまま、事実上妻が支払いをしていくという方法もあり得ます。
5 まとめ
以上の通り、自宅を所有していて住宅ローンが残っている状態で離婚をする場合、その処理にあたっては様々な面からの検討が必要であり、また、離婚の相手方だけでなく金融機関との話合いも必要になってくるなど、難しい問題が多くあります。
ただ、実際の解決方法は様々なものがあり得ますので、まずは弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。