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【コラム】法律お役立ちコラム《離婚_vol4》
親権について
1 親権とは
親権とは、未成年の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことを言います。
具体的な親権の内容としては、身上監護権(教育権、居所指定権など)、財産管理権(子どもの財産の包括的な管理権、子どもの法律行為についての代理権)があります。
父母が婚姻中は、原則として父母二人ともが共同で親権者となりますが、父母が離婚をする場合には、どちらか一方が親権者になることになります。
外国では離婚後の共同親権が認められている国もありますが、日本においては共同親権は認められていません。
2 親権者を決める手続き
①協議離婚の場合
話し合いにより親権者を決め、離婚届と同時に親権者を指定して戸籍の届出を行います。
未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合には、必ず同時に親権者を定めなければ離婚は出来ません。
離婚届には親権者を記載する欄があり、記載しなければ離婚届を受理してもらえないのです。
②調停離婚の場合
離婚について話合いがまとまらず調停になった場合、あるいは離婚自体は合意できても親権者をどちらにするか話合いがまとまらない場合、調停のなかで話合いをすることになります。
調停で話合いがまとまった場合、裁判所が作成する調停調書を役所に提出して手続きをします。
③審判離婚の場合
親権者の決定について調停でも話合いがつかなかった場合、親権者指定の審判手続に移行し、裁判所の判断により親権者が指定されることになります。
④裁判離婚の場合
調停がまとまらず離婚訴訟を提起した場合、親権者は判決主文で決められることになります。
家庭裁判所は、訴訟手続の中で、親権者の指定に関する事実の調査を行うことが出来ます。
また、子どもが15歳以上の場合には、裁判所は子どもの意向を聴取しなければならないこととされています。
3 親権者指定の判断基準
上記の通り、審判や裁判の場合には、裁判所が親権者を指定することになります。
その場合、判断にあたって考慮される事情としては、次のようなものがあります。
①父母側の事情
・健康、精神状態、性格異常、生活態度、経済状態(資産、収入)、家庭環境、住居、教育環境
・子に対する愛情の度合い
・現在、将来の環境、状況
・監護補助者の有無、補助の程度・方法
②子側の事情
・0~10歳―一般的に母親の方が強い
・10~15歳―子の心身の発育状況により子の意思を尊重
・15歳以上―子の意思を尊重(手続きの中で必ず子どもの陳述を聴かなければならない。)
4 親権者の変更
いったん決めた親権者を変更したい場合には、当事者の協議や戸籍の届出だけではできず、必ず家庭裁判所に調停・審判を申し立てなければなりません。
子どもの福祉のためには親権の継続性が尊重されるべきであるという考え方から、特別な事情がない限り親権者の変更は認められません。
5 終わりに
両親の離婚が子どもに与える影響はとても大きなものです。
同時に、親自身にとっても、離婚ということ自体が大きな精神的負担であり、時には感情的に物事を決めてしまいそうになることもあるかもしれません。
しかし、親権の問題は子どもの人生を左右する重要な問題であり、子どものためという視点を第一に、冷静に判断することが不可欠です。
そのためには、状況によっては、弁護士を窓口にして話合いをしたり、裁判所を介した手続きを取るという選択肢も有意義と言えるでしょう。